チック症・トゥレット症の理解と対応⑧~トゥレット症 保護者の声1~

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投稿日: | 更新日:

  • #チック症・トゥレット症の理解と対応
  • #相澤雅文

トゥレット症のお子さんがいる保護者の声です。

◆ 保護者の声①

 私の子どもの運動チックは、手がピクッと動く程度です。本人はノートを取るのが大変で辛いと思いますが、さほど周りの迷惑にはなりません。
 しかし音声チックは大きな声が出てしまうため、授業や試験の際に周りへの影響が大きいと思っています。怒り発作も現れ始めました。急に机を倒したり、教室を飛び出したりするので、授業が中断してしまうことがあり,周りの子の迷惑になると本人が話していました。
 症状に波があるため、ひどい症状の時にどうやって学習に参加するのかが悩みです。本人は学校が好きなのですが、学校や友達の理解なしには登校できません。

※「怒り発作」:急にひどく腹を立ててコントロールできなくなる状態になること

◆ 保護者の声②

 開放されるのか学校から帰ると同時に大声で叫び始め、自分の頭を叩いたり、ゲームを始めてミスすると「死ね!」と大声で叫んだり、リモコンを机等に叩きつけたりし、荒々しくなります。 
 学校では多少の音声チックはあるものの、子どもがリラックスできる状況を出来るだけ作るようにして下さっているので、落ち着いて生活しているようです。しかし、そんな状況でも我慢していることがあるのか、家庭では家族に当たるような行動を取ってしまうことがあります。

◆ 保護者の声③

 私の子どもは、幼稚園の年長の時まばたきが多いということで眼科の診察を受け、チック症と診断されました。様子を見ましょうと言われたので、その後も小児科を受信したりカウセリングを受けたりしました。
 カウンセリングを受けた際,「もっと愛情を注いであげて下さい」と言われ、ショックで子育てに対して自信を失ってしまいました。
 症状が改善しないまま時間が経ち、同じような症状のあるお子さんをもっている方から紹介された病院を受診し、初めてトゥレット症と診断されました。症状に気付いてから4年目のことでした。医師から愛情不足が原因ではないとの説明を受け、肩の荷が下り「ほっ」とした気持ちになったことを覚えています。




参考文献
金生由紀子編(2017)『こころの科学194 チックとトゥレット症』日本評論社
NPO法人日本トゥレット協会(2018)『チック・トゥレット症ハンドブック -正しい理解と支援のために-」
酒井隆成(2024)『トゥレット症の僕が「世界一幸せ」と胸を張れる理由』扶桑社

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この記事を書いた人

相澤雅文

京都教育大学 総合教育臨床センター 教授・博士(教育学) 公認心理師・特別支援教育士SV・臨床発達心理士SV

教員や発達相談支援センターの相談員を経験してきました。幼児期から学齢期の発達相談、集団適応の難しい子どもの研究を行っています。