チック症・トゥレット症の理解と対応⑦~トゥレット症 当事者の声2~

  • 事例を学ぶ

投稿日: | 更新日:

  • #チック症・トゥレット症の理解と対応
  • #相澤雅文

トゥレット症の当事者からの声です

◆ 当事者の声④

 中学校に入学してから特に周りの目が気になるようになった。チックを我慢しようとするとストレスがたまり、勉強が手につかなくなる。
 試験中、チックの前駆衝動が現れ、我慢しているうちにイライラしてしまい答案用紙に鉛筆でグシャグシャっと書いてしまったことがあった。
 授業中に我慢していると内容が分からなくなり、」ますますチックが出そうになる。必死で我慢するが「なんで自分はこうなのだろう」と自己嫌悪に陥ってしまうことがよくある。同じ部活の先輩から「お前のその動き気になる。やめろ、次やったら殴るぞ」と言われ、困ってしまったけれどなんと説明してよいのか分からなかった。その先輩との関係に悩み続けたが相談できる人もいず、結局退部してしまいました。
 ※前駆衝動:チック症状が現れる前に感じるむずむずとした感覚、チックをするとスッとする

◆ 当事者の声⑤

 小学校低学年の時、何かに触れた手を「スッ」と鼻に持っていき匂い嗅ぐような仕草をしてしまうことや、首を左右に振ってしまう運動チックが始まりました。首振りはだんだん激しくなり、飲もうとした牛乳を落としてしまうような状態になりました。「ウッ、ウ」のような声が出たり、鼻を「グッ」と鳴らしたりという音声チックも始まりました。高学年では「ばかやろ!死ね!」などという汚言症が現れました。周囲の友だちからの好奇の視線に耐えられなくなり。学校に行くことが苦痛に感じるようになっていきました。


参考文献
金生由紀子編(2017)『こころの科学194 チックとトゥレット症』日本評論社
NPO法人日本トゥレット協会(2018)『チック・トゥレット症ハンドブック -正しい理解と支援のために-」
酒井隆成(2024)『トゥレット症の僕が「世界一幸せ」と胸を張れる理由』扶桑社

Share

  • Xで記事をシェアする
  • Facebookで記事をシェアする

この記事を書いた人

相澤雅文

京都教育大学 総合教育臨床センター 教授・博士(教育学) 公認心理師・特別支援教育士SV・臨床発達心理士SV

教員や発達相談支援センターの相談員を経験してきました。幼児期から学齢期の発達相談、集団適応の難しい子どもの研究を行っています。