チック症・トゥレット症の理解と対応⑥~トゥレット症 当事者の声1~

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投稿日: | 更新日:

  • #チック症・トゥレット症の理解と対応
  • #相澤雅文

トゥレット症の当事者からの声です

◆ 当事者の声①

 トゥレット症の診断を受けて10年になります。学校では顔面チック・音声チック・運動チック・汚言症などの症状がでて大変でした。正直、毎日チックとともに生きていくことはとても辛かったです。
 運動チックが酷くなると体力をとても使います。もっと大変なのは「汚言症」という症状です。本当に、本当に、言いたくない言葉「死ね・バカ・殺す」や、性的な言葉も言ってしまいます。本当に恥ずかしい思いをしてきました。言ってはいけないと考えるとなおさら出てしまうのです。
 こうしたチック症状が出ればみんな見ますし、出ないように我慢していることも辛いのです。

◆ 当事者の声②

 学校に行くと、いつも周りの迷惑にならないかを考えてしまいます。そうではないのかもしれないけれど、つい意識してしまします。
 いつも見られているんじゃないかと、周囲の目が気になり、学校では過剰に気を遣ってしまう自分がいます。
 ですので、チックが出そうになると我慢しようとしてしまいます。首をかしげる振りをしたり、鉛筆をわざと落としたり、咳払いをしたりしてチックをごまかそうとすることも多いです。毎日、気遣いだけで疲れてしまいます。

◆ 当事者の声③

 チックをしたとき、「大丈夫?」と聞かれると、逆にどう答えていいかわからなくなります。無意識のうちに出てしまうのがチック症状・・・なので何事もなかったように、接していただくのが一番いいのかなと私は思っています。
 トゥレット症になって、環境が一番大切だと感じます。家族そして学校の先生・お友達の理解です。「少しだけ我慢して」「静かにして」は絶対禁句です。チック症状は咳と一緒で、コントロールできません。チック症の人と接したときは、何事もなかったように接することが最適だと思います。




参考文献
金生由紀子編(2017)『こころの科学194 チックとトゥレット症』日本評論社
NPO法人日本トゥレット協会(2018)『チック・トゥレット症ハンドブック -正しい理解と支援のために-」
酒井隆成(2024)『トゥレット症の僕が「世界一幸せ」と胸を張れる理由』扶桑社

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この記事を書いた人

相澤雅文

京都教育大学 総合教育臨床センター 教授・博士(教育学) 公認心理師・特別支援教育士SV・臨床発達心理士SV

教員や発達相談支援センターの相談員を経験してきました。幼児期から学齢期の発達相談、集団適応の難しい子どもの研究を行っています。