発達障害のある子どもの自傷行動③~家庭や学校でできる工夫と対応~

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  • #西恭平

発達障害のある子どもの自傷行動への対応や具体的な支援について解説します。


1.安全の確保

 自傷行動がすでに生じているとき、まず大切なのは安全を確保することです。頭をぶつけそうな場所にクッションを置く、固い家具から離れる、落ち着ける場所でクールダウンするなど、できる範囲で怪我のリスクを下げましょう。怪我が続く場合や急に行動が増えた場合には、医療や福祉の専門家に相談することも大切です。

2.記録をつける

 次に、どんなときに起きやすいかを知るために、簡単な記録をつけてみます。自傷行動のあった日時とその前後の出来事、子どもの様子を書きとめておくと、「予定の変更があったときに増えている」「にぎやかな場所のあとに多い」などのパターンが見えやすくなります。自傷行動に至るきっかけが分かれば、事前に予定を伝えておいたり、「人が多くてびっくりしたね」と代弁してあげたりすることで、安心感につながるかもしれません。

3.別のコミュニケーション方法を探る

 コミュニケーションの難しさが背景にありそうな場合は、「これがしたい」「休みたい」といった要求や気持ちを伝えやすい方法を一緒に考えます。「こう言ったらいいんだよ」とセリフを直接伝えてあげることもあれば、そのセリフをカードに書いて使う方法もあります。自分の気持ちを伝えるために、表情カードや好きなキャラクターのイラストを使う方法もよいかもしれません。また、注目させるための自傷行動であれば、肩を叩く、人物が描かれたカードを使う、ベルを鳴らすなどの方法も考えられます。その子が使いやすそうな手段を選び、うまく伝わったという成功体験を増やすことで、少しずつ自傷行動から別のコミュニケーション方法に置き換えを促していきます。

4.感覚の特性への対応

 感覚の特性が影響していそうな場合には、光や音などの刺激を弱める工夫や、心地の良い室温、椅子やクッション、衣服などを準備して、安心できる居場所を作ることがしばしば役立ちます。反対に、刺激を求めている様子があれば、クッションをぎゅっと抱く、からだを大きく動かせる遊びを取り入れるなど、自傷行動以外の方法で打ち込める活動を一緒に探していきます。



 自傷行動は、多くの場合、子ども本人にとってしんどいサインであり、そばで見ている大人にとってもつらい行動です。そのため、焦って対応してしまうことも多いと思いますが、その子によって理由や背景は異なります。つまり、対応も1人ひとりに合わせて試していくことになります。同じやり方でも、その日その時の体調や環境によってうまくいかないこともあるでしょう。しかしそれは保護者の方や先生の努力が足りないからではありません。試行錯誤を少しずつ積み重ねながら、また必要に応じて周囲の人や専門機関とも相談しながら、その子に合ったやり方を見つけていけると良いなと思います。

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この記事を書いた人

西恭平

大阪公立大学 国際基幹教育機構 特任助教・臨床心理士・公認心理師

これまで児童発達支援センターやクリニックの心理職,スクールカウンセラーなどとして従事。教育臨床を主な研究領域として研究に取り組んでいる。