発達障害のある子どもの自傷行動①~自分の頭を叩いたり,腕を噛んだりする子どもたち~

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  • #西恭平

 発達障害のある子どもにみられる自傷行動とは何か,その特徴について解説します。

 発達障害のあるお子さんの中には、自分の頭を強くたたく、腕に噛みつく、といった行動がみられることがあります。そばで見ている保護者の方や先生にとってはショックを受けたり、不安や戸惑いを感じたりしやすい場面かもしれません。

1.自傷行動と自傷行為の違い

 このように自分の身体を自ら傷つける行動は、しばしば「自傷行動」と呼ばれます。自傷行動とは、乳幼児ごろからみられ、発達障害のあるお子さんにしばしばみられる、頭を叩いたり、手や腕に噛みついたりするような行動です。
 一方で、似た言葉に「自傷行為」があります。こちらも自分の身体を自ら傷つける行動を指すのですが、主に思春期以降に、発達障害の有無に関わらずみられるもので、刃物で皮膚を切る行為(いわゆるリストカットなど)や、自分の体を強く叩くといった行為を指すことが多いです。 
 この記事では「自傷行動」と「自傷行為」を呼び分けることにして、今回は前者の自傷行動について紹介します(主に思春期以降にみられる自傷行為については、別の記事で取り上げます)。

2.自傷行動の特徴

 自傷行動には、例えば次のようなものがあります。頭や体を強い力でたたく、壁や床に頭や額を打ちつける、自分の腕や手を噛む、顔や腕をひっかく、つねる、髪の毛を強く引っ張る、抜こうとするなどです。どのくらいの強さで、どのくらいの頻度で起きるかは、一人ひとり違います。
 また自傷行動は、発達障害、特に自閉スペクトラム症や知的障害のある子どもで報告されやすいのですが、発達障害のある子どもに必ず起きるというものではありません。同じ子どもでも、体調や疲れ具合、周りの人とのかかわり方によって、しばしば異なります。


 こうした行動は多くの場合、自分のしんどさや困りごとに対するその子なりの「対処法」として行われています。その対処法の向かう先が他者ではなく自分自身となり、自傷行動としてあらわれていると考えられています。そのため、「今、どんなしんどさを抱えているのだろう」「何を伝えたいサインなのだろう」と、行動の背景を一緒に探していく視点が大切です。
 次回は、その背景として考えられるコミュニケーションの難しさや感覚の特性、ストレスなどについて、具体的にみていきたいと思います。

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この記事を書いた人

西恭平

大阪公立大学 国際基幹教育機構 特任助教・臨床心理士・公認心理師

これまで児童発達支援センターやクリニックの心理職,スクールカウンセラーなどとして従事。教育臨床を主な研究領域として研究に取り組んでいる。