学級づくり と 授業づくり④~教室環境を整えることが大切です~

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  • #青山芳文

教室環境を整えることが大切です

 教室環境(教室空間の環境)を整えることも非常に大切です。
 雑然とした環境(情報過多で必要な情報を把握しにくい環境)では、人は疲れてストレスがたまります。情報を整理することに困難のあるいわゆる発達障害の諸特性が強い子どもは、特に大きな影響をうけます。

 簡素で分かりやすい教室づくりに努めましょう。
 美しく見せるのが目的ではありません。「見ただけでわかる」「忘れても見ればわかる、思い出せる」といった視覚的な手がかりを使うこと、不要なものは見えないように片付けておくことが大切です。特に、授業中に子どもたちの目に入る教室の前面は簡素で分かりやすくしておくことが有効です。長々とした先生の指示や叱責の必要が激減し、子どもも先生もストレスが減って安定した毎日が送れるようになります。

 ただ、「分かりやすさ」を機械的に考えてはいけません。「目標と予定以外、何も貼らないのがいい」のではありません。
 20年ほど前、刺激過多の教室環境を改善することの重要性が指摘され始めた頃、「教室の前面の黒板の上には学級目標だけ、黒板の横には予定だけ。教室の側面や後ろにも基本的に何も貼らない。」ということが流行りました。一部の支援学校などでは、自閉症の専門家を自称する先生の指示により、隣の子どもとの間をパーテーションで仕切り、子どもたち全員が壁に向かって学習するという笑えない状況さえ生まれました。現在は克服されているはずですが、「刺激遮断 原理主義」に陥らないように留意してください。

 学級経営のねらいに沿って、「分かりやすさ」と「豊かさや楽しさ」を組み合わせてデザインを考え、教室環境を整えましょう。

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この記事を書いた人

青山芳文

現職時代の前半は小学校の教員、後半は特別支援学校の教員。

2000年前後の「特殊教育から特別支援教育への転換」の5年間は京都府教育委員会に出向し、特別支援教育の体制づくりと発達障害概念の普及に携わる。公立学校退職後10年間、大学に勤務(2023年3月立命館大学産業社会学部退職)。