不登校への対応~子どもが時間を持て余している~

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投稿日: | 更新日:

  • #不安感と不登校・登校渋り
  • #相澤雅文

不登校の子が時間を持て余し、退屈だと言い始めたとき、外に出かけるような働きかけはどうでしょう。

1.生徒の様子

 中学生1年生の男子です。夏休み過ぎたあたりから登校を渋り始め9月末には全く学校に行かなくなりました。不登校になった当初は、学校に行くように説得していましたが、どうやらそれが逆効果なのではないかと思い、この頃は「無理して行く必要はない」と考えるようにしています。2ヶ月ほどゲームばかりして過ごしていたのですが、最近「ゲームは飽きた、ヒマだ」と言うようになりました。どのように対応したらよいのでしょう。

2.対応の糸口

 「ヒマ」とつぶやく機会が増えたのですね。本当にヒマだからなのだろうと思います。何らかのターニングポイントになるかもしれません。ゲームに飽きた、刺激のない生活に飽きたという方が正しいのだろうと思います。

 家の外に出る機会を増やすよう促してみてはどうでしょう。散歩でも、買い物でもなんでも良いのです。とにかく家の外に出ることが大切です。ただ、登下校中の友だちに会う時間帯や、学校で勉強している時間帯はなかなか出かけられないかもしれません。

 外に出る機会を作る方法は色々あるのですが、近くにあればという条件つきですが「スイミング施設」や「図書館」を利用することはどうでしょうか。お家の方から最初に事情を話しておくと、配慮して下さることと思います。外に出る機会になりますし、それに、体を動かすことや、好きな書籍や映像を異なる環境で見ることは気分転換になります。

 また、老人の方のディサービスのボランティアなども良いかもしれません。「人の役に立つ」という経験は自己肯定感を高めるためにも大切です。

 その他には,スマートフォンのゲームを利用したことがあります。キャラクターを捕まえるゲームなのですが、外に出ていろいろなスポットでプレゼントを手に入れ、友だち同士で交換することができます。それをきっかけに外に出かける気持ちが高まりました。

 外に出て新しい刺激に出会うことは、前向きな考え方を生み、少しずつ学校に行くこと対しても前向きな気持ちになれるのではないかと考えます。

 
 「ヒマだ」ということは,新しい刺激を欲していると解釈することができます。無理のないところから外の空気を吸いに出かけてみることがよいと考えます。最初は車に乗ってでもよいと思います

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この記事を書いた人

相澤雅文

京都教育大学 総合教育臨床センター 教授・博士(教育学) 公認心理師・特別支援教育士SV・臨床発達心理士SV

教員や発達相談支援センターの相談員を経験してきました。幼児期から学齢期の発達相談、集団適応の難しい子どもの研究を行っています。