不安感と不登校・登校渋り③~完璧を目指すことによる不安~

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  • #不安感と不登校、登校渋り
  • #相澤雅文

不登校や登校渋りの背景として、児童生徒が感じている様々な不安感が要因となっているケースがあります。

1.生徒の様子

 小学校3年生です。この頃勉強が難しくなったせいか、テストで満点を取ることができなくなってきました。完璧主義的なところがあるとは感じていたのですが、この頃学校への登校をしぶることが多くなり心配しています。どのように対応していけばよいのでしょう。

2.理解と対応の糸口

 日常生活のさまざまな事柄に対して不安なことが継続することがあります。不安なことが一つのことに限らず、複数の分野に渡り継続することがあります。例えば、学校の成績、「テストでは必ず満点を取らなければならない」、「先生や友だちから認められなければならない」、「学級会では必ず発表しなければならない」など、作文の評価、先生や友だちとの人間関係など様々な分野で完璧主義的な思考に陥ることもあります。

 こうしたことに日常的に気を遣って、いい子でなければならないと考えてしまうこと、上手くできないといけないということに囚われ、不安感をいつも抱いてしまうことがあるのです。安心を得ることが困難な状態ということができるでしょう。

 「良い子」「真面目な子」として周囲から良い評価をえている子ども達の中には、そうでないといけないという考えに束縛されてしまうことがあります。「良い子」を演じていることから、内面の不安感を包み隠し見過ごされやすいともいえます。精神的な疲れや、完璧を求めることの困難さにぶつかったとき、登校への意欲が低下し、不登校に発展してしまうことがあります。

 子どもがたくさんの「失敗」を経験することが大切と考えられる様になってきています。「うまくできるように配慮するのが大人の役目」、「失敗したら挫折するのでは」と考えて、子どものやることなすことについ手と口を出してしまい、転ばぬ先の杖などということがありますよね。「失敗」を経験することが大切ということは、最初は失敗していても、だんだんできるようになっていくという過程を大切にすることです。そうした経験がやがて転んでも立ち上がっていく力となると考えます。

転ばぬ先の杖も大切ですが、転んでも立ち上がっていけるようになることがもっと大切

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この記事を書いた人

相澤雅文

京都教育大学 総合教育臨床センター 教授・博士(教育学) 公認心理師・特別支援教育士SV・臨床発達心理士SV

教員や発達相談支援センターの相談員を経験してきました。幼児期から学齢期の発達相談、集団適応の難しい子どもの研究を行っています。