宿題と不登校
- #丸山啓史
宿題ができていないから、学校に行きたくない。そういう気持ちになる子どもは少なく
ないようです。
2024年3月に、「文部科学省委託事業 不登校の要因分析に関する調査研究 報告書」が公
表されました(公益社団法人 子どもの発達科学研究所/浜松医科大学 子どものこころの発
達研究センター)。それによると、「宿題ができていない等」が不登校の「きっかけ要因
」になっているという回答が、教師の40.5%、不登校児童生徒の50.0%、不登校児童生徒
の保護者の37.7%に及んでいます。いろいろな「きっかけ要因」のなかでも、「宿題がで
きていない等」は回答割合の高いものの一つになっています。宿題ばかりが不登校の理由
ではないにせよ、宿題が不登校のきっかけになることは珍しくないようです。
私が学校の宿題について調べてきたなかでも、「実は夏休みの宿題が不登校のきっかけ
だったんです」「宿題が終わらないと学校に行けないという思いがあり、どんどん学校に
行きづらくなり、最終的に不登校になった」といった声に出会ってきました。
不登校には至っていなくても、「宿題ができていないから、学校に行きたくない」とい
う気持ちを経験したことがあるという子も、たくさんいるのではないでしょうか。
学校の宿題は、子どもたちを追いつめてしまうことがあります。小学生が泣きながら宿
題をしているという話も、しばしば耳にします。
宿題があること自体の是非は置いておくとしても、宿題のせいで子どもたちがとてもつ
らい思いをするようなことはなくしたいものです。子どもたちにとって宿題が大きすぎる
負担になっていないかどうか、宿題のことで困っている子どもや保護者がいないかどうか
、考えてみたいと思います。宿題にかかっている時間など、宿題をめぐる実情を把握する
ことも、出発点として大切になるでしょう。
関連資料
「文部科学省委託事業 不登校の要因分析に関する調査研究 報告書」(2024年3月)
https://www.mext.go.jp/content/20240322-mxt_jidou02-000028870_02.pdf
丸山啓史(2023)『宿題からの解放―子どもも親も学校も、そして社会も』かもがわ出版
筆者紹介
丸山啓史 京都教育大学 発達障害学科 准教授
著書に『宿題からの解放―子どもも親も学校も、そして社会も』(かもがわ出版、2023年)など
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