家庭と学校との関係 ~「コロナ禍」の教訓のいくつか~

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  • #丸山啓史

2020年2月27日、安倍首相が一斉臨時休校を要請しました。首相の要請には法的根拠が特になかったにも関わらず、休校についての決定権をもつ「学校の設置者」の多くが首相の要請に従う結果になりました。障害のある子どもと家族の生活は、混乱のなか、多くの困難を抱えました。
そうしたなか、私たちは、2020年の6月から7月にかけて、学校に在籍している障害のある子どもの保護者を対象に、京都府内で「『コロナ休校』のもとでの生活に関するアンケート」を実施しました。放課後等デイサービス事業所など、20か所の事業所に協力いただき、288名の保護者の方から回答を得ることができました。

見えてきたことの一つは、休校期間中に学校から出された宿題・課題が、子どもと保護者の重荷になっていたことです。「学校から出された宿題・課題が大変だった」という回答は、特別支援学級の子どもについては29.7%であり、通常学級の子どもについては53.9%でした。「親がみてやらないと到底一人では学習できなかったと思う」といった記述もありました。
子どもと保護者が宿題に苦しめられる状況は、「コロナ休校」の期間に限ったことではないでしょう。日常を問い直すことも必要です。

また、休校期間に子どもの担任の先生から電話や訪問があったことを肯定的にとらえる回答が多くみられました。「1週間に1回は電話などで様子を聞いてくれた」「家庭訪問や電話での様子伺いを何度もしていただいて、親も子も安心できました」といった記述がありました。一方で、「担任からの電話連絡が1度しかなかった」といった不満の声もありました。
教員と保護者とのコミュニケーションや、教員と子どもとのコミュニケーションについての、保護者の期待がうかがえます。
連絡や訪問が具体的・直接的に役にたつかどうかはさておき、「先生が気にかけてくれている」と感じられること自体に意味がある場合もありそうです。

筆者紹介
丸山啓史 京都教育大学 発達障害学科 准教授
学生時代のボランティア・アルバイトをきっかけに、障害のある子どもの放課後活動に関わってきています。

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