学童保育と力を合わせる
- #丸山啓史
学童保育に通う小学生は、近年も増え続けています。子ども家庭庁の資料によると、学童保育の登録児童数は、2003年に約54万人、2013年に約89万人でしたが、2023年には約146万人になっています。
学童保育に通う障害のある子どもも増えていて、2013年には約2万5000人でしたが、2023年には約5万4000人になっており、10年間で2倍以上になっています。全登録児童数に対する割合も、2013年の2.8%から、2023年の4.1%へと増加しました。
特別支援教育という観点から見ても、小学校と学童保育が力を合わせる重要性は増すばかりです。
学校のなかでは困難を抱えがちな子どもが、学童保育では友だちと楽しく過ごしているということもあります。学童保育で思わぬ活躍をしていることもあります。
一方で、学校生活のなかでの緊張や疲労が、学童保育のなかでの「荒れ」につながっていることもあります。
保護者を介して話を聞くのであれ、学童保育の指導員さんと話をするのであれ、学童保育のなかでの子どもの様子を学校の先生が知ることは、学校での指導・支援を考える手がかりになりそうです。
小学校と学童保育の間での連携を進めていく際、気をつけなければならないのは、学校の先生と学童保育の指導員さんとが対等な関係で話し合うということです。
学校から学童保育に対して、「○○してください」「△△はしないでください」と一方的な注文を出すのは、避けたほうがよいでしょう。
また、「学校ではできています」「学校ではそんなことをしません」などと、何かしらの「問題」を学童保育の責任のように話すことも、すれ違いの原因になりかねません(学校で無理してがんばっているからこそ、学童保育で「問題」が生じるのかもしれません)。
学校と学童保育に同じルールを適用する必要もありません。「一貫した支援」の必要性が言われますが、学校と家庭とが異なるように、学校と学童保育とは異なります。それぞれの場に、独自の性格・役割があります。学校では見せない「甘え」を学童保育では見せる、といったことがあってもよいはずです。
学校と学童保育の違いをふまえつつ、それぞれの場での子どもの姿をしっかり共有することが、出発点になるでしょう。子どものために何がよいのか、いっしょに探っていくことが肝心です。
小学校と放課後等デイサービス事業所との連携に関しても、同じようなことが言えるでしょう。
筆者紹介
丸山啓史 京都教育大学 発達障害学科 准教授
学生時代のボランティア・アルバイトをきっかけに、障害のある子どもの放課後活動に関わってきています。
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