障害理解学習のために ~絵本の活用~

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  • #丸山啓史

「いろんな人、いろんな子がいるんだなあ」「ほかの人、ほかの子も、自分と同じような気持ちを経験していたりするんだなあ」といった感覚が子どもたちのなかに広がることは、多様な子どもが過ごしやすい学級につながるのではないでしょうか。
「障害とは何か」といったことを改まったかたちで学ぶのではなくても、たとえば絵本からでも、人間の多様性をめぐる理解を深めることができそうです。
ここでは2冊の絵本を紹介したいと思います。わりと有名なものなので、ご存知の方もおられるのではないでしょうか。

パトリシア・ポラッコ作・絵『ありがとう、フォルカーせんせい』(香咲弥須子訳、岩崎書店、2001年)は、作者自身の経験がもとになっているものです。小学生になっても字をうまく読めず、「わたし、みんなとちがうのかな」「あたまがわるいのかな」と悩むトリシャの姿が描かれます。フォルカー先生は、そんなトリシャの味方になってくれました。

くすのきしげのり作・石井聖岳絵『おこだでませんように』(小学館、2008年)は、「いえでも がっこうでも おこられる」子どもが主人公です。「ぼく」の目線から、「ぼく」のすることには「ぼく」なりの理由があることが描かれます。「ぼく」の気持ちに共感できる絵本です。

絵本を授業等で扱う場合には扱い方をていねいに考える必要がありますが、とりあえず「学級文庫」の中に混ぜておくのもよいかもしれません。何かしらの「効果」がすぐに見えてくるということではなくても、良い文化に触れることは、子どもたちの成長につながるはずです。
障害に関係するマンガや児童文学も少なくありません。障害について説明するような、子ども向けの本も出されています。探してみると、いろいろなものが見つかるはずです。

筆者紹介
丸山啓史 京都教育大学 発達障害学科 准教授
「まあええやん」の精神を大切にしたいです。おおらかな世の中を願っています。

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