運動会の裏側で…

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  • #丸山啓史

学童保育の指導員さんや、放課後等デイサービスの職員さんと話していると、「運動会の前になると子どもたちが荒れる」といったことをしばしば耳にします。「あるある話」といった感じです。
運動会の練習が子どもたちにとっての負担になっていることが少なくないようです。普段とは違う活動のなかで、きちんと覚えること、きちんと行動することを求められがちです。活動の内容によっては、体力的な消耗が激しい場合もあるでしょう(地球温暖化が進むなか、5月や9月でも暑い日が珍しくありません)。運動会の前の時期に、子どもたちはストレスや疲労を抱えることになりがちです。そのことが、「荒れる」という現象につながっているのでしょう。

運動会だけの問題ではありません。学習発表会や文化祭、合唱コンクールなど、準備・練習が求められる行事は、子どもたちの重荷になる可能性があります。
もちろん、そのことを理由に、行事の存在意義そのものを一概に否定するつもりはありません。行事を楽しみにしている子も多いと思いますし、不安や緊張を抱えながら取り組んだ行事で達成感を味わう子もいることでしょう。
ただ、行事が子どもたちにとっての重圧になり得ることを軽視してはならないと思います。子どもたちが無理なく参加できる行事のあり方を考えてみたいものです。
演技等の完成度が重視される場合には、子どもたちの負担が増すかもしれません。また、運動会に向けての行進練習のように、面白味の乏しい単調な活動は、苦痛に感じる子どもが多いかもしれません(足並みをそろえての行進は、そもそも必要なのでしょうか?)。
行事について、改めて考えてみたいと思います。

筆者紹介
丸山啓史 京都教育大学 発達障害学科 准教授
学生時代のボランティア・アルバイトをきっかけに、障害のある子どもの放課後活動に関わってきています。

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