「自主学習」を見直してみる

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  • #丸山啓史

小学生の保護者の方々に話を聞いていると、「じしゅがく」や「じしゅべん」に困らされているという人が少なくありません。子どもたちに宿題として課せられる「自主学習」や「自主勉強」が、子どもにとっても、保護者にとっても、負担になっているようです。
近頃では、「自主学習」が宿題にされることが増えてきていて、既製品の「自主学習ノート」が出回るようになっています。「自主学習」に苦労する子どもも多くなっているのではないでしょうか。

目立つのは、「何をしたらよいのか、わからない」という声です。子どもも保護者も、「何をすればいいの?」という戸惑いを抱えています。取り組む内容の具体例が示される場合もあるようですが、「自主学習だから、何をするかは自由です」ということも多いようです。
「自由です」と言われても、何かしなければいけないことにはなっていて、「ノート1ページ分」などと分量が決められていたりもするので、困るわけです。

宿題としての「自主学習」のために、親が、課題を作成したり、インターネットで課題を探したりすることもあります。親のほうも、なかなか大変です。
どのような内容の「自主学習」にするか、親が考えて子どもに提案していることも少なくありません。ただ、親の提案を子どもがすんなり受け入れるとは限りません。「そんな適当な中身じゃダメ!」「そんなの、つまらない…」といった話になると、「自主学習」は始められもしません。
なかなか終わらない宿題に、子どもも保護者もイライラしてしまうことがあります。

もちろん、子どもたちのなかには、「自主学習」を楽しんでいる子もいます。ただ、「自主学習」に苦しんでいる子がいることも事実です。宿題としての「自主学習」をどうしていくのがよいのか、考え直してみたいものです。

筆者紹介
丸山啓史 京都教育大学 発達障害学科 准教授
著書に『宿題からの解放―子どもも親も学校も、そして社会も』(かもがわ出版、2023年)など

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