「マル付け」の心得

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  • #丸山啓史

子どもたちに課題を出すと、多くの場合、仕上げられた課題の確認をすることになります。先生が「マル付け」をすることもあります。
まじめすぎる「マル付け」は、子どもたちを息苦しくさせてしまう可能性があります。「ここが違う」「これも違う」と指摘や修正を加えていくと、プリントやノートが「赤ペンだらけ」になったりもします。それを受けとる子どもの気持ちは、どのようなものでしょうか。せっかく努力して終わらせた課題にたくさんの「×」がついて戻ってきたら、誰だって嫌な気分になるでしょう。
休み時間や放課後に「お直し」をしなければならないとなると、子どもにとって酷なことになりそうです。休み時間や放課後に遊んだりするのを楽しみにしている場合には、それらが「お直し」に奪われてしまうと、学校生活が苦しいものになりかねません。

「漢字を正しく書けるようになってほしい」「きちんと計算ができるようになってほしい」という思いは当然のものですが、子どもたちを追いつめるのがよいことだとも思えません。
おおらかな「マル付け」を心がけてみてもよいのではないでしょうか。ノートなりワークブックなりに文字や数字が書かれていたら、それは子どもががんばった証です。少々の間違いは大目に見てもよいかもしれません。間違いを見逃すことがあってもよいかもしれません。
漢字の横棒が少し長すぎる、計算の答えは合っているけれど数字がひどく読みにくい、書かれた文の途中で文字が一つ抜けている、音読の保護者サインの筆跡がどうも怪しい、といったことを気にし始めると、気になるところはいくらでも出てきます。
みんなが気持ちよく過ごすために、おおらかな対応があってもよい気がします。

なお、最近では、宿題のマル付けを保護者がしていることも少なくありません。夏休み等の宿題は、そういうことが多いようです。普段の宿題の「確認」を保護者がしている場合もあります。
保護者が「マル付け」なり「確認」をすると、間違いが見つかった場合、子どもに「お直し」を迫ることになりがちです。けれども、子どもたちは「お直し」が好きではありません。「お直し」を求められた子どもは、不機嫌になります。「マル付け」や「お直し」から始まる親子ゲンカは少なくありません。
保護者に対する「マル付け」の押し付けは、できるだけ避けたいものです。

筆者紹介
丸山啓史 京都教育大学 発達障害学科 准教授
著書に『宿題からの解放―子どもも親も学校も、そして社会も』(かもがわ出版、2023年)など

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