宿題を子どもに合わせる

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  • #丸山啓史

学校の宿題は、子どもたちにとって厄介な存在になっていることが少なくありません。読み書きや計算に困難を抱えていると、宿題が大きな負担になりがちです。
その負担を軽くするために、放課後に宿題に付き合ったりしている先生もいます。ただ、それが無理なくできるとは限りません。
クラス全体の宿題を完全になくしてしまえば、宿題の負担はなくなるのですが、日本の学校の現状を考えると、宿題を廃止するのは簡単なことではありません。
それでは、どうすればよいのでしょう。

宿題についての個別的対応という手立ても考えられます。宿題に大きな困難を抱える子については、その子に合わせて宿題の中身や宿題への取り組み方を個別に調整するのです。
そういう工夫が実際に行われている例は珍しくありません。計算問題の数を減らす、漢字を練習する量を減らす、宿題のなかで困難な部分はしなくてよいことにする、といった対応がみられます。
子どもに合わない宿題を無理強いしたところで、子どもが苦しい思いをするばかりです。宿題をしないことで勉強が遅れるのを心配する前に、目の前の子どもの大変さを心配したほうがよいでしょう。

「合理的配慮」についての考え方を思い浮かべても、クラスの子ども全員に一律の宿題を課すのは、必ずしも「平等」ではありません。必要な個別的調整がなされてこそ、学ぶ権利が「平等」に保障されることになります。
必要性が認められる場合には、宿題についての個別的対応を積極的に考えてみてよいでしょう。子ども本人や保護者と相談しながら、良いかたちを探っていきたいものです。

筆者紹介
丸山啓史 京都教育大学 発達障害学科 准教授
著書に『宿題からの解放―子どもも親も学校も、そして社会も』(かもがわ出版、2023年)など

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