現場のホンネ ~「支援」について考える①~

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「支援」って何?

「何でも支援してやってあげるのはよくないと思う」、「わがままを許していると成長しない」など、現場の先生と話していると色々な「?」の思いを聞くことがあります。これら「?」はなぜ生まれるのでしょうか。先生方の「?」から支援について考えていきたいと思います。

やってあげることが支援なのか

デジタル大辞泉で「支援」の意味を調べてみると「力を貸して助けること」と出てきます。例文には「独立運動を支援する」とあります。漢字の通り、「支えて援助する」ことです。英語ではsupportと訳されます。
上述の「何でも支援してやってあげるのはよくないと思う」という発言をした先生はどのような思いだったのでしょうか。おそらく「何でも代わりにやってあげるのはよくないと思う」とか、「本人の気持ちをおきざりにして、何でもやってあげるのはよくないと思う」という、支援対象者の主体性についての違和感を述べているものだと考えられます。辞書の例文にあった「独立運動を支援する」の場合、支援対象者は独立運動を行おうとする明確な主体性を持っていて、その行動が成功するように支援する(この場合、おそらく金銭面の援助や機会の提供など)という構造になっています。
このように考えると、違和感を感じた先生の発言の意図は「今行われている支援は、子どもの主体性と合っていないので考え直した方がよいのではないか」ということになります。子どもたちへの支援を必死で考えているうちに、いつのまにか「支援すること」が先行してしまい、主体がどこにあるのか不明な支援内容になることは珍しくありません。支援を行う中で、子どもたちが常に真ん中にいるかどうかを確認することが大切です。

では、子どもに主体性が見られない場合はどうしたらよいのでしょうか。次回はそのあたりから「支援」について考えていきます。(つづく)

筆者紹介
鈴木英太(すずきえいた) 公認心理師・特別支援教育士・臨床発達心理士
京都教育大学 学びサポート室講師
誰もが自分らしく学べる環境づくりを目指して実践と研究に励む毎日を過ごしている元中学校教諭(教科は数学)。

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