現場のホンネ ~個別の指導計画の作成と活用②~

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個別の指導計画の作成は「手段」

個別の指導計画の作成は「手段」です。「目的」は適切な支援です。つまり、「どうしたら個別の指導計画の作成と活用がうまくいくのでしょうか?」という問いはあまり意味をなしません。「どうしたら適切な支援をすることができるでしょうか」という問いの答えの1つが、「個別の指導計画を作成して活用すること」になります。

支援までのプロセス

支援を実施するまでのプロセスは複雑です。実態把握(アセスメント)からはじまり、集めた情報を分析し、支援目標と支援内容を決定します。さらに、支援を実施する中で新たな情報や子どもの様子、支援効果を形成的に評価し、必要であれば目標や内容を変更していきます。適切な支援を行うためにこのプロセスは必要不可欠です。そして、この情報量を頭の中だけで適切に処理することはできません。書き出して整理する必要があります。この書き出して頭の中を整理するために「アセスメント票」というものを活用します。「アセスメント票」を使って、対象の子どもの特徴的なエピソードを学習面、行動面、心理面に分類したり、成育歴や学級の様子、学力の状況などを記入したりしながら生来の発達特性と現在の状況を作っている環境を整理していきます。
アセスメント票ができたら、整理した情報をもとに指導計画を立てます。長期目標、短期目標、具体的な支援を個別の指導計画に書き込みます。

「手段」であることを実感しているか

ここまでの話をまとめると、適切な支援を行うためには適切な目標と支援内容が必要で、適切な目標と支援内容の決定には適切なアセスメントが必要で、適切なアセスメントを行うためにはアセスメント票などを使用して情報を整理していくことが必要、ということでした。アセスメント票や個別の指導計画の作成は、適切な支援を行うために必要な「手段」であることを理解していただけたかと思います。逆に考えると、アセスメント票や個別の指導計画の作成が「手段」であることを実感している支援者は、支援までのプロセスを適切に踏んでいると言えます。

今回は、個別の指導計画を作成することが「手段」であることについての説明でした。次回は、個別の指導計画の活用について考えていきます。 

③に続く

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この記事を書いた人

鈴木英太

京都教育大学総合教育臨床センター講師(学びサポート室担当)、公認心理師・特別支援教育士・臨床発達心理士

誰もが自分らしく学べる環境づくりを目指して実践と研究に励む毎日を過ごしている元中学校教諭(教科は数学)。