ギフテッドの子どもたちに関する基礎知識⑤ 〜発達障害とギフテッド②〜

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  • #ギフテッドの子どもたちに関する基礎知識
  • #伊藤駿

はじめに

基礎知識④では、ギフテッドと発達障害の関係についてお話ししました。その両者が併存するのはあり得ることであると同時に、誤診を引き起こしやすいということもあります。そこで今回は、ギフテッドと発達障害の違いについて、お話ししていきたいと思います。ただし、重ねてになりますがこの両者は決して区分できるものではなく、併存しうるものです。相反するものでもありません。いくつかの記事に分けて事例をご紹介していきたいと思います。

コミュニケーションが苦手なAさん

みなさんはコミュニケーションが苦手だなと思う子どもはどのような子どもでしょうか。人の話を遮ってしまう子ども、なんとなく会話が噛み合わない子ども、萎縮してしまう子どもなど、いろいろな子どもがいます。当然のことですが、まずコミュニケーションが苦手という子どもの「苦手さ」の背景に注目することが第一歩です。
例えば、具体的な思考から抽象的な思考に移行することが苦手(今回の事例で言えば、相手の立場に立って同じことを考えてみるということが苦手)というケースであれば、ASDに原因を求められることが多いでしょうし、ついつい人の話を遮ったり、話しすぎてしまったりする場合では、ADHDに原因を求めることも多いでしょう。
ではどういった場合にギフテッドを疑うかと言われると、例えば話が合わないという時に理解力の違いによるものや興味関心の違いによるものというケースの場合などが挙げられます。ただし、その興味の偏りが大きい場合は2Eの可能性も検討されうると思います。こうした見極めをするためには、子どもの実態を丁寧に把握するために聞き取りを続けたり、観察記録をつけたりすることも必要です。

おわりに

今回の事例は、佐藤駿一(2023)「医療現場で出会うギフテッドの子ども」杉田克生編集『神経発達症児童への包括的治療教育プログラムガイドブック(補)ギフティッド児支援 第4版』pp.119-123の内容をもとに、本人が特定されない形で筆者が相談にのった事例を改変し、紹介しました。

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この記事を書いた人

伊藤駿

京都教育大学総合教育臨床センター講師(学びサポート室担当)