ギフテッドの子どもたちに関する基礎知識④ 〜発達障害とギフテッド①〜

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  • #ギフテッドの子どもたちに関する基礎知識
  • #伊藤駿

はじめに

基礎知識②と③では、ギフテッドの子どもたちによくみられる特性として、非同期発達と過興奮性の観点から紹介をしてきました。しかし、特に過興奮性については、読者の皆さんの中には、発達障害となにが違うのかということを思われる方も少なくないのではと思います。そこで、本記事ではギフテッドと発達障害の関係について紹介していきたいと思います。

ギフテッドと発達障害の大きな違い

個人的な意見の域を出ませんが、ギフテッドと発達障害の関係を考える上で大事なことは、ギフテッドは診断されるものではない一方で、発達障害は診断されるものという違いを認識することだと思います。そのためギフテッドは医師の診断は必要としませんし(そもそも診断をするものでもないということですが)、教員や心理士、研究者がギフテッドだと表現することも可能です。他方で発達障害は診断名であり、資格をもつ人々以外が診断することはできません。

ギフテッドと発達障害は併存する

先のことを踏まえれば、ギフテッドは自称することも他人が指摘することもできますので、発達障害と併存することは十分に考えられます。また、発達障害とギフテッドの両側面を有する人々のことを二重(twice)に例外(exceptional)を意味する2Eと表現することがしばしばあります。

ギフテッドと発達障害を見分ける?

2Eについて説明をすると、よくいただく質問に「では、ギフテッドと発達障害をどう見分けたら良いのか」ということがあります。私は医師ではないので、発達障害の診断はできませんがとよくよく前置きをした上でいくつか説明をさせていただくことがありますが、それは次の記事に譲りたいと思います。ただし、そもそも診断基準のある発達障害とそれがないギフテッドを見分けるということは不可能とも言えます(医師がいくらADHD特性だと指摘したとしても、それをギフテッドと自称することが可能だからです)。しかし、ここでお話ししておきたいことは、ギフテッド特性と言われるものが発達障害の特性と近しいゆえに「誤診」されてしまうケースが少なくないということです。そしてその誤診ゆえに、適切な支援を受けることができないというケースがあります。そのため、実際の支援を行う学校の先生方には、こうした誤診の可能性も踏まえて、複層的な支援を検討していただきたいとお話しさせていただくようにしています。

関連資料
『ギフティッド その誤診と重複診断 心理・医療・教育の現場から』 J・T ウェブら著 2019年

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この記事を書いた人

伊藤駿

京都教育大学総合教育臨床センター講師(学びサポート室担当)