キャリア発達を「性」の視点から支援する④ ~「○○だから、○○しなさい」の危うさ~

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  • #門下祐子

「男の子なんだから 泣いたらだめでしょ。男らしくしなさい」
「女の子なんだから 料理くらいできないとね。女らしくしなさい」
そう言われたことや、誰かに言ったことはありませんか?

それ以外にも、
「お姉ちゃんなんだから、お姉ちゃんらしく我慢しなさい」
「お兄ちゃんなんだから、お兄ちゃんらしくゆずってあげなさい」
と言われたことがある人や言ったことがある人もいるかもしれません。

こういった「〇〇らしさ」という言葉は、私たちの周りにあふれています。
あまりに当たり前に交わされる言葉たちなので、自分自身も、自然とそう思い込んでしまっているところもありますよね。
泣いてはいけない理由に、「男だから」と言われるのはなぜでしょう?
料理は「女だから」できないといけないものでしょうか?
「お姉ちゃん」や「お兄ちゃん」だからという理由で、いつも我慢しないといけないのでしょうか?

他にも筆者が気になっているのは、「女の子がそんな短いスカートをはいていたら危ないから、やめなさい」という言葉です。
この言葉のうらには、「短いスカートをはいていると痴漢にあうかもしれない」と女性を心配する気持ちが込められていると思います。

本来、自分で着たい服を選んで着るのは当たり前のこと。
もしもそれで痴漢にあった場合、責められるべきは「痴漢をした人」です。
それなのに、先ほどの言葉のために痴漢にあった女性が、「短いスカートをはいていた自分が悪いんだ」と自分のことを責めてしまう、あるいは、周りから責められていると感じてしまう恐れがあります。

「良かれと思って」伝えたメッセージが、むしろ女性の責任を問うものになっていないでしょうか?
私たちの周りにある「○○だから、○○しなさい」の言葉。
一度立ち止まって、みんなで考えてみませんか?

(キャリア発達を「性」の視点から支援する⑤につづく)

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この記事を書いた人

門下祐子

京都教育大学総合教育臨床センター講師(学びサポート室担当)

特別支援学校の元教諭で、現場で課題意識が芽生え研究の道に入る。著書に「シンプル性教育 いっしょに話そう!くらす・はたらくに活かす「性」のこと」(一般社団法人スローコミュニケーション)。