キャリア発達を「性」の視点から支援する③ ~日頃のかかわりから「性」の視点を意識する~

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  • #キャリア発達を「性」の視点から支援する
  • #門下祐子

そもそも、「性」は決してタブーやネガティブなものではなく、からだのこと、パートナーとの関係、社会的な人間関係のことなどで、人生の基盤となるとても大切なものです。
それなのに、「性」について語ることは、なぜこんなにもハードルが高いのでしょうか? 

その理由の一つに、大人も子どもも、からだのことに関する会話や、かかわりをあまり重視していないことが考えられます。
たとえば、絵本などを通して、からだの部位の名前を確認したり、
「私ってどうやって生まれたの?」
といった子どもの疑問を聞き流さずに丁寧に向き合ったり、
「おむつ替えるから、おしりにふれるね」
「〇〇のからだが大事だから、着替えるときは、人に見られないように気をつけながら着替えようね」
と言葉をかけたりする、といったやりとりの仕方があります。

他にも、痛みやしんどさを伝えてきた際に、
「痛かったんだね」「それは辛かったね」
と共感したりするなどのやりとりもあるでしょう。
そうして、「自分のからだって大切なんだ」と思えるようなかかわりを続けていくことで、他の人のからだも大切に思えるようになったり、自然と「性」が当たり前の話になっていくのではないでしょうか。

また最近は、「プライベートゾーン」という言葉も広く知られるようになりました。
一般的には、「水着で隠れるところ(胸や性器、お尻)と口」と考えられているようです。
子どもたちに教える際にわかりやすい言葉として用いられていますが、気をつけたいこともあります。

それは、からだのなかで「プライベート」な部分は実はそれぞれちがうということ。
 
「髪はさわられたくない」
「足を見せたくない」
という人もいますし、
「大好きなパートナーなら大丈夫」
など、相手や関係性によって、それが変化することもあるでしょう。
したがって、「プライベートゾーン」を一方的に規定するのではなく、からだのどこがプライベートな部分なのかをそれぞれが考え、プライベートな部分は一人ひとりちがうことを互いに学ぶことが重要です。
日頃のかかわりのなかで、ぜひ意識しておこなってみてはいかがでしょうか?

(キャリア発達を「性」の視点から支援する④につづく)

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この記事を書いた人

門下祐子

京都教育大学総合教育臨床センター講師(学びサポート室担当)

特別支援学校の元教諭で、現場で課題意識が芽生え研究の道に入る。著書に「シンプル性教育 いっしょに話そう!くらす・はたらくに活かす「性」のこと」(一般社団法人スローコミュニケーション)。