第2回:キャリア発達支援とは? ~「わたし」のキャリア発達から考える~

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  • #キャリア発達支援とは? ~「わたし」のキャリア発達から考える
  • #門下祐子

第1回で述べたように、「キャリア」は単に就労のみをさすものではありません。
しかしながら、個人的にはリーダーの立場に置かれたことにより、「他者をより強く意識し、個に応じた声かけやかかわりを重視している自分」に気づくことができた経験が、特別支援学校教員という職を選ぶきっかけにもなったと感じています。

こう考えてみると、キャリア教育は一つの授業で成立するものではなく、学校という「場」やそこから派生したさまざまな活動を通して行うものとも言えます。
その「場」における自己の役割とは何かを考える機会や、チャレンジの機会を設けること、そして教員をはじめとするおとなが、子どもたちのトライ&エラーにサポーティブな態度で接する、そういったなかで子どもたちが自身の「生き方」について思いを馳せていく…。
こういった営みがキャリア教育の重要なプロセスであると言えるでしょう。

子どもたちの「キャリア発達」を支える教員や保護者もまた、それぞれの役割を担いながら、自らの生き方について考えていくことができるのも、キャリア教育の醍醐味です。
相互に関係し合いながら、それぞれが「自分らしさ」あるいは、「自分らしい生き方」とは何なのか、多様な経験を通して自己の「キャリア」を見つめる営みを大切にしたいところです。

ここまで筆者自身の子ども時代をふりかえりながら、「キャリア発達支援」について考えてみました。あらためて読んでみると、自分は学校のなかで何らかの役割を担う機会や選択肢が与えられ、それを選ぶことのできる(YESかNOを自分で決めることができる)立場にいたこと、自分自身も「新しいことにチャレンジしてみよう」という気持ちをもっていて、そのチャレンジをサポートしてくれる人たちに囲まれていたことがわかります。
そのこと自体にはとても感謝していますし、自身のキャリア形成の重要なプロセスであったことは言うまでもありません。

一方で個々の「キャリア発達」を考えるならば、本来、誰もに当たり前にこのような選択肢と機会が用意されるべきだと思います。
いくつかの選択肢やチャレンジの機会があるなかで、
「あなたはどうしたい?」
「何をしているときが好き?」
など、言葉だけでなく、多様なアプローチを用いて語りかける、それによって「自分らしい生き方」を模索することにつながると考えるからです。
(第3回へつづく)

筆者紹介
門下祐子(京都教育大学 総合教育臨床センター 学びサポート室)
特別支援学校の元教諭で、現場で課題意識が芽生え研究の道に入る。著書に「シンプル性教育 いっしょに話そう!くらす・はたらくに活かす「性」のこと」(一般社団法人スローコミュニケーション)。

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