現場のホンネ ~個別の指導計画の作成と活用①~

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個別の指導計画の作成率

特別支援教育の広まりとともに、特別な支援が必要な児童生徒に対して個別の指導計画を作成する必要がある、ということの認識もされることとなりました。2022年に文部科学省が行った調査では、個別の指導計画の作成率(作成が必要と判断されている人数のうち、実際に作成している人数の割合)は93.7%となっています。「作成が必要と判断されている」児童生徒が作成率の母数になっており、その判断の妥当性までの言及は難しいところですが、個別の指導計画を作成すること自体については文部科学省も2017年の時点で「着実に取組が進んでいる状況」と考察をしています。

作成はしているけれど・・・

上に述べたことからも、個別の指導計画を作成することは今やあたりまえという状況になったと考えることができます。一方、現場の先生からは「どうやって書けばよいかわからない」、「作成に時間がかかり過ぎる」、「作ったのはよいものの、ロッカーの中に眠っている状態である」という話を聞くことが今も少なくありません。

活用につながらない「作成」に陥らないために

作成したものが活用できていないと先生たちが感じるような状況になると、「これって意味あるの?」という思いがだんだんと大きくなってきます。こうなってしまうと単なる義務感から作成することになり、そのような指導計画は活用できるはずもなく・・・という負のスパイラルに陥ってしまいます。

「作成」と「活用」はセットで考える必要がある

よく考えてみると、個別の指導計画に関わらず、学級通信や通知表、教材などもすべて「作成」と「活用」はセットであることがわかります。誰も読まない(活用されない)学級通信を作成する人がいないのと同じです。

では、どうしたらいいのか

「どうしたら個別の指導計画の作成と活用がうまくいくのでしょうか?」という問いの在り方から考える必要があります。個別の指導計画は、適切な支援につなげるための手段であって目的ではありません。次回はこのあたりから考えていきます。 ②に続く

筆者紹介
鈴木英太(すずきえいた) 公認心理師・特別支援教育士・臨床発達心理士
京都教育大学 学びサポート室講師
誰もが自分らしく学べる環境づくりを目指して実践と研究に励む毎日を過ごしている元中学校教諭(教科は数学)。

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