おむつにしかウンチをしない幼児

  • 事例を学ぶ

投稿日: | 更新日:

  • #相澤雅文

1.幼児の様子

3歳の男の子です。
ウンチだけはなかなかトイレでできません。いつもオムツの中にしています。ウンチが出るタイミングは分かるようになり、おむつでしたい気持ちをなだめてトイレに連れて行こうとしますが、トイレでウンチをすることを頑なに嫌がります。どのように教えたらいいのでしょう?

2.ウンチのトイレットトレーニングの時期

2歳くらいまでは「ウンチがしたくなる」⇒「すぐに出てしまう」ことが多く、トイレまでがまんできません。3~4歳頃になるとウンチがしたいと感じてからトイレに行くまでくらいはがまんできるようになります。おしっこはスムーズにトイレでできるようになった子どもでも、ウンチの場合は抵抗を示すケースがあります。中には、ウンチをしたくなると自分でパンツからオムツにはき替える子どももいます。
他児ができるようになると、保護者としては早くできるようになってほしいと思います。外出先で、ウンチのたびにオムツにはき替えるのも結構面倒です。しかし、無理矢理トイレに座らせたり、叱ってしまったりしては逆効果です。ますますトイレが嫌いになってしまいかねません。
おむつにウンチをする理由は子どもよって多様と考えます。

たとえば、
・(過去に)便座が冷たかった
・ひとりでトイレに座っているのがこわい
・(ソファーなどの)物陰でしたい
・便座に座ると足がつかず、いきむことができない
・おむつは安心感がある
・便座が高くて座るのが怖い(家庭の場合)
・ウンチが落ちたときの水跳ねが嫌だ
・トイレだと保護者(などが)じっと見にくるので嫌だ(お尻ふいたりするため)
・行きたいと思ったときに誰かが入っていて待たされた
・お腹が痛くなってもオムツは安心  などなど
その子の心情をはかりながら、試行錯誤が必要です。

3.支援の方法

①ウンチが出かかったタイミングでトイレに連れていこう

ウンチが出そうにないのに便座に座せられて、つまらない思い。ギリギリまで待って、急いでトイレに連れていってみる。少しいきむだけで出てくることを何度か繰り返すうちに、慣れていくかもしれません。

②洋式便座は足場を作る

足が届かないので安定しないことが考えられます。段ボールや台などを置いて足場にしてみましょう。好きなキャラクターのシールなどを貼っても良いでしょう。おまるで慣れてからトイレにチャレンジという方法もあります。


③保護者がトイレに付き添ってあげよう


ウンチは、おしっこと違い一気に出ないことがあり、少し長い時間便座に座っている必要があります。トイレの中にひとりでいるのがイヤで、オムツでしたがる子どもも少なくないようです。保護者がトイレに付き添ってあげることで解決することがあります。


④ウンチができたら大げさにほめてあげる作戦


便座に座ってウンチができたら、「すごいね!」「がんばってできたね!」などと、大げさにほめてあげましょう。自信がついて次もやってみようという気持ちになってくれたらバンザイです。


⑤ 見本を示す


幼稚園、保育園などで、友だちがトイレに行く姿を見て、できるようになることもあります。
いずれにしても、その子のペースに合わせて慌てず、無理のないように進めることが大切です。

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この記事を書いた人

相澤雅文

京都教育大学総合教育臨床センター教授・同センター長、博士(教育学)、公認心理師・特別支援教育士SV・臨床発達心理士SV

教員や発達相談支援センターの相談員を経験してきました。幼児期から学齢期の発達相談、集団適応の難しい子どもの研究を行っています。