よく嘘をついてしまう児童への対応
- #相澤雅文
目次
学齢期に入ってからの嘘は、様々な意図が潜んでいると考えられています。嘘をついてしまう背景には、子どもの心理状態からの影響が色濃くあるのです。時には嘘である事をなかなか認めようとしないことや、嘘をつくことが常態化してしまうこともあります。嘘をつくことは、仲間との信頼関係を損なってしまうことや、時には大人との関係にも悪影響を及ぼすことから、望ましい社会性の発達にも影響を及ぼします。
1.児童の様子
小学校3年生の明るく元気な女の子です。最近、友達とのやりとりの中で、習い事で「私も○○で有名な先生に特別に教えてもらっている」や、「私、新しい△△と□□を買ってもらった」などと自慢そうに話しているのですが、実はそれが嘘だとばれてしまい、「嘘つき」と言われ、友だち関係がうまくいかなくなっています。
家庭でも、「今日の宿題は」と聞くと「宿題はない」と言ってゲームをしていることが増えてきているとのことです。また、買った覚えのない文房具を持っていたので「どうしたの」と問いただしても「お友達にもらった」との一点張りで、対応が難しいということです。
2.支援の方法
①心情に寄り添うことから始める
学齢期の子どもがつく嘘には何かしらの思いが潜んでいます。何かしらの嘘をつく必要がある状況として推察できることは、
・身近な人を心配させないため
・自分をよく見せたいとき
・負けたくないとき
・自分への期待を裏切りたくないとき
・知られたくないことを隠したいとき
・不安なとき
・かまってほしいとき
・楽をしたいとき
・反抗心を直接的ではなく表現するとき などでしょうか。
このケースを考えると、友だちに負けたくない気持ちや、反抗心などが絡み合っての行動かと考えられます。頭ごなしに叱るのではなく、心を落ち着けて少しずつ話を聴く機会を作る必要があると考えられます。
②大人の関わり方を振り返る
私たちが「なぜしないの?」「どうして?」「早くしなさい!」などと問いつめることや、「絶対にダメ」と厳しい関わり方をしてきたとき、子どもは正直に本当のことを話すと叱られることから、嘘をついてしまうことがあります。私たち大人が嘘をつくように追い込んでしまっていることがあるのですね。
また、大人が子どもに都合の良い嘘をついて誠実に対応していない場合も、子どもが嘘をつくようになることがあります。
子ども自身のことばかりではなく、子どもと周囲の人々との関係のあり方にも目を向けてみることが大切です。
③子どもが正直に嘘を認めたときの対応
最初は緊張しながらついていた嘘も、繰り返すことによって罪悪感が徐々に減少し、嘘が常態化していくことがあります。子どもが正直に本当のことを話した時の対応を考えましょう。厳しく叱り戒めることは、逆効果ではないでしょうか。正直に話せたことをしっかりと認める方が効果的と考えます。
また、嘘をついてしまった理由を話し合い、これからどうしたら良いのかについて一緒に考えてみると良いと思います。嘘をつくことにより、自分に返ってくる不利益について理解する機会にしたいものです。
しかし、なかなか改善の兆しが見られないのであれば、児童相談所や医療機関などの専門家に相談し第三者を交えて解決に向けることの検討が必要と思います。
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