【感覚過敏(聴覚)】大きな音を嫌がる児童への対応

  • 事例を学ぶ

投稿日: | 更新日:

  • #相澤雅文

1.児童の様子

聴覚の過敏さがあり、運動会のピストルや音楽の鍵盤ハーモニカの合奏などの大きな音が苦手です。時にはパニックになってしまうことがあります。他児にとっては特に問題にならない音であっても、本児にとっては耐えがたい不快感や不安感が生じてしまうようです。

2.支援の方法

①どのような場面でどのような音を嫌がるのか把握しましょう

・閉鎖された教室のような空間?校庭のような広い場所でも?
・(黒板を爪でひっかいたような)波長の高い音?(お腹にひびくような)波長の低い音?
・心の準備ができていたらある程度大丈夫?
・不協和音がとても嫌だという子もいます。

②代用できる方法、工夫できることがあれば試してみましょう。

・運動会のピストルの代わりに太鼓を使用
・マイクの代わりにメガホンでは?
・マイクのハウリングが起きないよう、スピーカーの位置調整をしてみる。
・鍵盤ハーモニカの合奏などの時は、イヤマフや耳栓をする。
・状況によっては、ノイズキャンセリング・イヤフォン(ヘッドフォン)などの活用を
 検討する。

③別の場所の利用を検討しましょう

・休み時間など、他児たちの大きな話し声や歓声にも耐えられない様子であれば、その
 時間を図書室、保健室など静寂が保たれる場所で過ごすことを検討しましょう。

④他児の理解を進めましょう

・学級の子どもたちが、音への敏感さを理解できないことがあります。学級活動などで
 「苦手な音、嫌な音」について話し合ってみることもひとつの方法です。きっといろい
 ろな音が出てくることでしょう。音への関心を高めながら、教師から協力のお願いをし
 てみましょう。

⑤自分から意思表示できるように

・大きな音の感じ方は、一人ひとり異なります。耐えられない音(音量)の場合は自分
 から意思表示ができるようになるとよいですね。最初は意思表示カードなどを活用し
 ても良いでしょう。

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この記事を書いた人

相澤雅文

京都教育大学総合教育臨床センター教授・同センター長、博士(教育学)、公認心理師・特別支援教育士SV・臨床発達心理士SV

教員や発達相談支援センターの相談員を経験してきました。幼児期から学齢期の発達相談、集団適応の難しい子どもの研究を行っています。